妊娠24〜30週になるころ、多くの女性がドキドキしながら受ける検査の1つが「妊娠糖尿病(Gestational Diabetes)」のスクリーニングであるグルコースチャレンジ(Glucose Torelance Test)です。
この記事では、アメリカで妊娠糖尿病と診断された私が、栄養士と内分泌科医に厳しく指導されて学んだ
血糖値コントロールのコツやおすすめの市販食品について書いています。
妊娠糖尿病について不安に感じている方のお役に立てば幸いです。
妊娠糖尿病とは?
妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見された糖代謝異常です。
特に妊娠後期に発症する人が多く、妊娠中に産生されるホルモンの影響でインスリンの働きが低下→血糖値が上昇しやすくなることによって引き起こされます。
インスリンの働きは妊娠週を追うごとに低下し続け、妊娠36〜37週をピークにして出産後には治ります。
妊娠糖尿病をうまくコントロールしなかった場合、
- 母体は妊娠高血圧などの合併症のリスクが上がる
- 胎児は巨大児、新生児低血糖、子癇前症、最悪のケースでは死産や乳児死亡の確率が上昇する
といったことがありうるため、検査やモニタリングをおこたらず、食事療法やインスリン注射を適切に使用して血糖値をコントロールする必要があります。
とはいえ、妊娠糖尿病を患ったとしてもほとんどの女性は健康な赤ちゃんを産みます。
先生に言われることをきちんと守れば、基本的に問題はないので心配しすぎることはありません。
妊娠糖尿病はあなたのせいじゃない
糖尿病というと甘いものや肥満と結び付けられることが多く、ネットにも心無いことが書かれていたりするので
私も最初はお腹の赤ちゃんに申し訳ないわ、自分が何かやらかしたと思い非常にショックを受けたのですが
妊娠糖尿病は遺伝や体質・年齢の影響も大きく、普段から生活習慣に気をつけていても、なることがあります。
栄養士さんとの初面談の際にも、
「みんな、甘いものを食べすぎたとか太りすぎたのかもって自分を責めるけど、なる人はなるし、ならない人はならないから、妊娠糖尿病はあなたのせいじゃないよ。絶対に自分を悪く思わないでね」
と強く励まされました。
なったらなったでコントロールすればいいだけの話なので気に病まず、自分なりのご褒美や管理の仕方を試行錯誤して乗り越えていけばいいのです。
妊娠糖尿病検査
アメリカでは妊娠24〜30週くらいの間に必ず、グルコースチャレンジと言われる妊娠糖尿病のスクリーニングを受けるようOB(産婦人科医)から指示されます。
内容としては、50グラムの砂糖水(意外とおいしい)をグイッと飲み、1時間経過後に血を抜かれ、後日計測された血糖値を知らされる、というもの。
このときの血糖値が140mg/dL以上190mg/dL未満であれば、再検査で本当に妊娠糖尿病かどうかを確認します。
再検査もやることはほとんど同じですが、所要時間が3時間程度と長丁場になり、そのあいだ病院に待機して複数回血を抜かれ、詳細に検査されます。
ちなみに1回目で引っかかって再検査したけど問題なかった、というパターンはけっこう多いみたいです。
私は26週で1回目の検査し、数値が210だったため
「良いニュースと悪いニュースがあるよ! 悪いニュースはあなたは妊娠糖尿病になりました! 良いニュースは、血糖値が高すぎて疑う余地もなく妊娠糖尿病だから再検査しなくて良いです!」
とOBのお医者さんに言われました。笑
晴れて(?)妊娠糖尿病と診断されると、まずは食事療法+1日4回の血糖値モニタリングを始めます。
空腹時(朝食前)、朝食後1時間、昼食後、夕食後の4回ですね。
それでもコントロールが効かなくなると、インシュリン注射をすることになります。
内分泌科医と栄養士と密に連携しながら、24時間血糖値に振り回される日々が始まります…!
血糖値モニタリング
妊娠糖尿病をコントロールするうえで重要なのが、1日4回(起床時、朝食後、昼食後、夕食後)の血糖値測定です。
小さな針を指に刺し、にじんだ血で血糖値を計測します。
私の場合、食後1時間の数値を毎回医師に報告していたので、
食事はつねに気にして、食事をし始めると同時にアラームをセットして、
外出時も忙しい時も常に血糖値に振り回されてと最初はわりとストレスが溜まりました…。
ただ、血糖値の計測は本当に重要なのです。
まず、何を食べた時に血糖値が上がりやすいのかは人によって違うので
食後の数値を正確に知っていると、自分の体の傾向を知って血糖値コントロールに活かすことができます。
たとえば一般的には高GI食品(小麦粉や白米やうどん)より低GI食品(全粒粉小麦粉や玄米やそば)を選ぶべきと言われますが、
私は小麦粉ではあまり血糖値が上がらず、玄米は茶碗半分でも毎回数値が爆上がりします。
また、妊娠糖尿病は進行性なので、妊娠週数が進むにつれて食事に関係なく空腹時血糖値があがってくることがあり、
その時にすぐ気づいてインスリン導入を判断できるかが、胎児の健康を左右します。
食事療法
さて妊娠糖尿病と診断されると、まずは食事療法での血糖値コントロールを試みます。
血糖値をあげるのは主に炭水化物なので、炭水化物量を減らしたり抜けばいいのではと思っていたのですが、
赤ちゃんの発育に炭水化物は必須の栄養素なので、必ず一定量を摂取しなければいけません。
私は胎児に必要なだけの炭水化物摂取ができているか確認するため
ケトン体検査キットを使って、毎朝ケトン値を測っていました
炭水化物摂取量を大幅に減らせないため、何をどのように食べるか、がコントロールの肝になってきます。
食事のスケジュール
私の場合は1日3食と4回のおやつで、1日7回食を実践していました。
7〜8時頃 | 朝食 |
10時頃 | 1回目のおやつ |
12時頃 | 昼食 |
14〜15時頃 | 2回目のおやつ |
16〜17時頃 | 3回目のおやつ |
19時〜20時頃 | 夕食 |
23時頃 | 就寝前のおやつ |
どんだけ食べさせるねん!と最初は(というか今でも)思っているのですが、
- たくさんの食事を1日2〜3回よりも、1回の食事量を少し抑えめにして1日5回以上食べる方が血糖値が上がりにくい
- 食事制限によって空腹を感じる=赤ちゃんのための栄養が足りていないと言うことなので、妊娠中は積極的に間食すべき
というまともな理由から、このようなスケジュールを指導されていました。
食事の内容
妊娠糖尿病になったあと、お医者さんや栄養士さんたちから言われた「守るべきこと」は意外とシンプルでした。
- 毎回の食事の半分を新鮮な野菜、残りの半分は、タンパク質と高繊維の炭水化物で構成する
- 野菜→タンパク質→炭水化物の順に食べる
- 栄養ラベルをしっかり確認し、毎食決められた糖質の摂取量を守る
- 血糖値を測る前に、10分間早歩き(足踏みでOK)をする
- おやつは高脂肪・高繊維・低炭水化物のものを選ぶ
私の場合、糖質摂取量は朝食30g、昼食と夕食は40g、おやつは1食につき15gと決められていました!
血糖値管理の強い味方
ここからは、私が妊娠中に血糖値管理をしていて本当にお世話になった「神」食品をご紹介します。
Youtubeなどで妊娠糖尿病の人がどんなもの食べているかの動画を見ていると、味気ないものばかり食べていて絶望するのですが(私はしました)
実際のところ、ものを選べば食べられない食材はほとんどないですし、そんなに辛い生活にはならないはずです!
アボカド
ハイリスク妊娠だったため妊娠中はあちこちの施設へ足しげく通ったのですが、
どこへ行っても誰と会っても、毎回医療関係の方に言われたのは「アボカド毎日1個食べなさい!!」笑
アボカドは高脂肪・高繊維で血糖値が上がりにくく、それでいて赤ちゃんに届けたい栄養がたっぷりあるんだとか。
サラダに入れたり、アボカドトーストにしてほぼ毎日食べていました。
アボカドトーストの味付けはトレジョの Everything But Bagel とレモン汁。
あとは茹で卵を添えたりトマトやバジルをのせたり、毎日ちょっと変えながらカフェランチっぽくして楽しんでいました。
全粒粉/マルチグレインのパン
普通の白パンは血糖値が上がりやすいので、パンは全て全粒粉(Whole wheat)かマルチグレイン(Multi Grain)のものに変えました。
複数の先生におすすめされたのが、Dave’s Killer Breadの赤いパッケージのパン。
あとは、トレジョの全粒粉トルティーヤもよく食べました。
上にチーズやチキン、冷凍シーフードをのせてオーブンで焼くだけ。
このときの調味料は日本から取り寄せた「ほりにし」で味がむちゃくちゃ整います。
全粒粉パンはまずいし固いという偏見があったのですがいずれも普通に美味しく、出産後も食べているくらいです。
無糖ピーナツバター
実はナッツ類は糖尿病の強い味方で、血糖コントロールを改善する効果があるといわれています。
Amazonで買える、Spread The Love NAKED Organic Peanut Butterは何度もリピ買いするほど重宝しました。
なんと原材料がピーナツのみなのですが、ピーナツ100%とは思えないほど甘くてなめらかなスプレッド。
これでつくったピーナツサンドはよく朝食にしていましたし、クラッカーにこのピーナツバターをつけて間食にすることもありました。
KINDバー
おやつにオススメされたうちの1つが、ナッツでできたKINDバーでした。
外出時でも時間になったらおやつを食べる必要があるので、個包装でかさばらず持ち運びしやすい間食として活躍しました。
何より、味はほとんどチョコレートなので満足度が高く、お菓子らしいお菓子をそんなに食べられないというストレスを解消するオアシスになってくれました。
むちゃくちゃ食べまくったのでほとんど全種類ためしましたが、味と含有繊維量が十分なダントツ推しKINDバーは Salted Caramel & Dark Chocolate Nut と Dark Chocolate Nuts and Sea Salt の2味。
Variety Pack を最初に試して味の好みをみてから、上記の2味を含めた好きな味をAmazonで定期購入してました。
全粒粉クラッカー
おやつとして、そして炭水化物摂取量が足りなかった時のサプリメントとして活躍した全粒粉クラッカー。
クラッカーを選ぶ際には、1servingにつき食物繊維が2g以上入っていることを確認するよう言われていました。
私はホールフーズやAmazonで買える Back to nature の Harvest Whole Wheat Crackers をリピートしていました。
塩気が抑えめながらもちょうど良く、美味しいクラッカーです。
全乳(Whole Milk)プレーンヨーグルトと牛乳
ヨーグルトや牛乳は絶対にWhole Milkを選ぶように強く言われていました。
低脂肪の方が健康的なイメージだったのですが、炭水化物を食べる時、脂質やタンパク質を一緒に摂取した方が血糖値の上昇を抑えられるそうです。
朝食の炭水化物として、プレーンヨーグルトにフルーツやナッツを乗せたものをよく食べました。
牛乳はグラス1杯を日中や就寝前のおやつとしてよく飲みました。
個人的に牛乳とプレーンヨーグルトはおいしいと思えるブランドがとても少なくて…。
ほぼ毎日食べるにあたって、苦痛にならない味のものをあちこちで片っ端から試して、
ヨーグルトは Green Valley CREAMERY の ORGANIC WHOLE MILK PLAIN YOGURT
牛乳は ORGANIC VALLEY の Organic Whole Milkで固定になりました。
ステビアチョコレート
チョコレートもモノによっては取り入れることができます。
zero sugar added の高カカオチョコレートは、繊維も多いので適量なら食後に食べられます。(ダークチョコほどAdded Sugarが多い罠もあるので、栄養成分表示は必見です)
他は基本的には避けた方がいいのですが、ステビア(人工甘味料)を使ったチョコレートは、たまに食べても良いと言われました。
ステビアは妊娠中でも安心で血糖値に影響しないので、砂糖やハチミツ使うよりいいからとのこと。
とはいえ、砂糖の代わりにステビアを使ったお菓子やプロテインバーは、基本味(特に後味)がよくないです。笑
唯一満足できたのが、Lily’sの Salted Caramel Flavored か White Chocolate を使って自分で生チョコをつくることでした。
ただし、血糖値以外の観点で人工甘味料の安全性はまだ研究中ですので、調べたうえで取り入れるかどうか選択するのがいいかもしれません。
お肉
脂っこく悪いイメージもありますが、お肉はたくさん食べても血糖値にはほとんど影響ありません。
妊娠糖尿病のあいだは冬だったので、家ではよく肉と野菜をたっぷり入れた鍋を食べて乗り越えました。
ちなみにどうしても外食するときは、
ハンバーガーやステーキ、焼肉、インドカレーをよく選んでいました!
インスリン注射
食事管理で血糖値をコントロールしきれなくなると、インスリン注射をする必要がでてきます。
妊娠糖尿病は進行性なので、私も食後血糖値のコントロールは問題なかったのですが、
最後の最後で空腹時血糖値が通常範囲を超えてしまい、就寝前に毎日1回インスリンを打つことになりました。
これはもう仕方ないですね。なるようになります。
健康に生まれてきてくれますように!
妊娠糖尿病をわずらった女性は将来、2型糖尿病になるリスクも高いと言われています。
管理や制限が多くストレスもたまりやすい妊娠糖尿病ですがあまり気負わず、
これを機に自分の体質を見直したり、栄養や健康について学び、今までと違う食材選びの観点を得るきっかけにすれば意外と楽しく過ごせるかもしれません。
赤ちゃんが健康に生まれてきてくれるように、前向きにコントロールして乗り越えたいですね!
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※記事の内容は、特定の製品の効能効果または安全性を保証する、あるいは否定したりするものではありません。 ※このブログ記事の内容は2023年8月執筆時のものです。最新情報は必ず公式ページにてご確認ください。