ニューヨークの象徴でもあったワールドトレードセンタービルが、崩落し灰燼と化した911同時多発テロ事件。
アメリカ史上最大規模の同時多発テロということもあり、いまだに当時の報道に関する記憶などが残っている方もいるかと思いますが、
そんな一連のテロ事件の詳細を後世に伝えるための博物館が、ワールドトレードセンター跡地にあります。
この911メモリアルミュージアムは、Tripadviserなどのサイトでもニューヨーク観光で行くべき場所として常に3本の指に入るほど人気のスポットで、ニューヨークを訪れたら是非行っておきたいミュージアムです。
The National 911 Memorial & Museumとは
2001年、世界を揺るがした9.11同時多発テロ事件は、多くの死傷者とインフラ含む物的被害、そして事件後も長きにわたる健康被害を生み出しました。
このミュージアムでは、テロに至るまでの経緯や事件の詳細、そしてその後の顛末などが非常に丁寧に、そして情緒的に解説されており、
非常に見応えがある、考えさせられる場所となっています。
また、アルカイダによるワールドトレードセンターへのテロは、実は2001年と1993年の計2回おこっており、ここはその両方の犠牲者を追悼するメモリアルミュージアムでもあります。
開館日時
- 営業時間:水- 金:09:00 – 19:00 (最終入場 17:30)
- 休館日:火曜日、サンクスギビング、クリスマス
ただし、ホリデーシーズンは火曜日も開館する場合があります。
休館日や営業時間変更の最新の情報は公式サイトをご覧ください。
アクセス方法
アクセスは非常によく、近くにはメトロの駅がたくさんあります。
最寄駅は World Trade Center 駅や Fulton Street 駅、Chambers Street 駅などです。
住所:180 Greenwich Street New York, NY 10007, United States
チケット情報
当日窓口でも買えますが、行くタイミングによっては長い列に並ぶ必要があるので、
事前に公式ページかこちらの日本語サイトからチケット購入しておくのがおすすめです。
- 18 – 64歳:33ドル
- 13 – 17歳:27ドル
- 7 – 12歳:21ドル
- 65歳以上:27ドル
- 6才以下:無料
自然史博物館やロックフェラー展望台など、他の定番観光地と合わせてお得に入場チケットが買える New York City Pass もあります。(日本語サイトはこちら)
行きたいスポットを検討した上で、お得と感じたらこちらを検討するのもありです。
※月曜日の17:30-19:00には、人数限定ですが無料で入場できる「Monday Free Admission」もあります。事前予約(チケット取得)はこちらから。
所要時間
見るものが多く、敷地も広いため、早めにまわって1時間半、じっくり見て3時間以上かかるとみていいかと思います。
当日はイヤホンを持っていき、日本語対応の公式アプリ「9/11 Museum Audio Guide」で解説を聞きながらまわると、時間はかかりますが理解も深まるかと思います。
館内にはカフェやショップもあるので、立ち寄るとさらに時間はかかります。
私はそんなにのんびりしたつもりはなかったのですが、気づけば展示コーナーだけで4時間ほど滞在してしまっていたので、余裕を見ておくと良いかと思います。
911 Memorial & Museumの見どころ
展示内容
展示は、アメリカで起こったテロの概要説明から始まります。
特に有名な2001年9月11日にアメリカ国内で同時に発生した4つのテロ事件では、4機の旅客機が、イスラム過激派集団のアルカイダによってハイジャックされ、その全てが建造物に激突および墜落しました。
乗客・スタッフは全員死亡し、巻き込まれた救助隊や会社員なども含め約3,000人が死亡しました。
4機のうち2機は、ここニューヨークのマンハッタンにあるワールドトレードセンターのツインタワー(2棟のビル)に激突し、ともに110階建てだったツインタワーは完全に崩落しました。
この敷地内の火災は、9.11テロから100日後の12月20日に、ようやく鎮火されました。どれだけの被害だったかが想像できる凄まじい数字だと思います。
展示コーナーへと移動する途中、何枚もの写真が掲示されており、そこには当日、煙が上がるビルの様子を見上げる人々が写っていました。
ただ何事かという驚いた顔の人から、恐怖の表情、頭を抱える人や、立ち尽くす人、泣き崩れている人など、みんなバラバラの反応なのですが、それがまた、その表情の背景を想像させられます。
他にも、娘や恋人、夫と事件後連絡がつかず、街にあふれた探し人の貼り紙の数々もあまりに悲惨で、犠牲者には実際に日本人もいましたし、身近に感じざるを得ない展示でした。
ビルの崩落で、屋上に設置されていた通信アンテナも壊れてこの有様だったそう。
そして、その奥に見えるのがこのミュージアムの象徴と言える “Trying to Remember the Color of the Sky on That September Morning.” (あの日の空の色を思い出そうとして)と題されたアート作品です。
右側中央に書かれている文字は、ローマの詩人ウェルギリウスの作品から引用された “No Day Shall Erase You From the Memory of Time” (どんな月日も、あなたを時間の記憶から消し去ることはできない)という言葉で、このアルファベット1文字1文字が、ワールドトレードセンターの瓦礫から見つかった鉄鋼から鋳造されています。
周りの青いパネルは、全部で2,983個の個別の水彩画の正方形になっており、この数字は2001年と1993年のテロによる犠牲者数と一致していました。
さらにショッキングな内容は、撮影禁止の隔離されたスペース(In Memoriam)で見ることができます。
ここは当日、関係各所で起こっていたことを分単位で細かく追憶していくような展示の仕方でした。
世界各地で報道された映像、ハイジャックされた飛行機に乗っていた客室乗務員の戸惑った様子の言葉や、乗客が、多分もうだめだとわかって、家族に電話で遺したメッセージなどが、時間とともに一言一句細かく記載されています。
遺された生音声も、電話機越しに聞けるようになっていますが、あまりにリアルで、冷静に聞いていることが困難なほどです。
こちらは外部のニュースサイトですが、「9.11犠牲者の最期の数分間、電話に残された肉声」というタイトルの記事です。興味がある方は、少し展示内容の予習になるかもしれません。
また、犠牲者の名前や写真、生前の愛用品やどんな人だったかなども展示されているスペースがありました。
個人的にもうひとつ印象的だったものとして、消防隊員は30秒動かないとアラームの音が鳴るらしいのですが、
当時、使命感を持って犠牲者のレスキューに行った消防隊員たちが、自身も瓦礫にひかれて身動き取れなくなり、
そのせいであちこちでいくつものアラームが鳴り響いている様子を音で再現した展示があり、現実味があってゾッとさせられました。
この件でニューヨーク市消防局では343人の現役消防士が亡くなっています。
このテロの後、報復と称してアメリカはイラク・アフガニスタン戦争を開始しました。
ミュージアム内はつらい展示も多いですが、戦争やテロってよくない、誰々が悪い、ではなく、
なぜこの悲劇が起こったのかや、そこで起こった人々のドラマ、悲劇の顛末を多面的な事実から客観的に展示する事で、
誰もが正義を行使する時に同時に悪でもあること、善意や良識だけではなく、歴史・政治・宗教・金で世界が動いているというリアルなど、
来場者の心を打ち、また深く考えさせる構成になっています。
ノースプール・サウスプール
ワールドトレードセンターのツインタワーがあった跡地には、大きなプールができています。
プールの周りには、事件の犠牲となった方の名前が一人一人刻まれており、観光客だけでなくご親族や知人などもさまざまな想いを持ってここを訪れます。
夜にはライトアップされて幻想的な雰囲気になるので、その様子を見に行くのもいいかもしれません。
まとめ
ニューヨークの911メモリアルミュージアムは、
アメリカで見るべき博物館の1つだと思います。
ぜひ、ニューヨーク観光の際には足を運んでみてください。
また、同時多発テロ事件が発生した9/11には、毎年恒例のトリビュートインライト (The Tribute in Light)をみることができます。
2本の青いビームライトは、崩壊した旧ワールドトレードセンターを模しています。
約3,000人にのぼるテロの犠牲者を追悼する意味合いで事件翌年の2002年から点灯されるようになったそうです。
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※このブログ記事の内容は2023年12月執筆時のものです。最新情報は必ず公式ページにてご確認ください。